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喪失・別離・死別

 

亡くした方が家族であれ、友人であれ、ペットであれ、大切な存在が死ぬと人はショック状態に入ります。お葬式の手配やお香典返しなどが全部済んで、ホッとするまで涙も出ないこともあります。愛する存在がもうこの世にいないことについて、これからその存在なしでどうやっていこうかと考えることができる状態になるまで、時間がいります。死と別れを心が受け入れることができるまでに、1年や2年かかるのが普通です。悲しみは年々薄らいでも、かけがえのない存在を完全に忘れることはできませんし、いつまでも憶えておきたいかもしれません。

 

生きていればいつか必ず死や別れに接します。 そのとき未解決で引きずってきた過去の喪失の傷がまた開き、痛みがいっそう深いものになることがよくあります。今までたくさんの喪失や別れにあった人の傷は深く、癒しに時間がかかるかもしれません。 自尊心や自己イメージが低い人は特に、喪失感をほっておくとうつ病に発展する危険性があります。

 

たとえば、「何をやっていても楽しくない。いつも頭の隅で亡くなった人のことを考えている。事故現場や亡くなったときの様子がフラッシュバックする。前に進みたいのに進めない。死にたい。自分も死ぬのではと、不安だ。パニックになった。お酒や薬で不安をまぎらわせている。朝起きたくない」などいろいろな問題が浮上することがあります。

 

子供はあばれたり、乱暴したり、落ち着かなくなる子もいれば、ぼんやりと白昼夢にひたり、集中力を失い、成績が下がる子もいます。今までそんなことはなかったのに、赤ちゃん返りし、ちょっとしたことで泣き出してしまう子もいます。暗闇が恐くて、電気をつけたままで寝る子もいます。今泣いたと思えば、次の瞬間には楽しく遊んだりします。

 

精神力の多くが、死をプロセスすることに使われるので、記憶力、集中力、判断力、生産力、管理力などが落ちます。仕事のパフォーマンスが落ちるのは、むしろ普通です。上のような症状がある方は、早いうちにカウンセリングやセラピーで心を整理すると、安定と回復の助けになることがあります。 こんな時バケーションに行っても、楽しめないということをよく聞きます。できるだけ規則正しい生活を続け、子供は毎日学校へ行かせ、生活を立て直していくことが回復の基盤となります。

 

生活が安定し、愛する人がいない日々の中で、人は人生の目的や意味を深く考え始めます。何が自分にとって大切なものか、愛する人を失ってから気づくことがあるかもしれません。一年、二年後に本当の意味で人生の新しい章が始まります。そしてあなたは人の痛みがもっとわかるようになるかもしれません。