価値観の相違
国際結婚ですと、配偶者同士の価値観、文化の相違はどうしても存在します。アメリカに移住してきた日本人は、住んでいる土地の価値観が生活を大きく左右す るということを思い知らされます。日本にいれば「日本ではこれが当たり前だ」という議論ができますが、アメリカに来てはもはや通用しないし、パート ナーが納得しないのです。
たとえば金融危機が起きるまで、アメリカ人はクレジットカードや各種ローン借金があるのが当たり前でした。親が学費を出すのが普通、貯金が大事と思ってきた日本人は、ア メリカ人の配偶者に多額の学生ローン債務があり、わずかな貯金しかないことに驚愕します。経済面ではそれまでのライフスタイルや生活レベルの差も関係します。いくらぐらいの金額までは相手に相談せずに使っていいかなどの基本的話し合いが必要です。お金の使い方は日本でもアメリカでも、夫婦の最大論点の一つです。
変えられること、変えられないこと
いくら話し合っても乗り越えられない壁はあります。アルコールやインターネットなどの各種依存症は、話し合いで単純に変えることはできず、専門家の介入が必要です。基本的な価値観、宗教観、信念、性格、それらに基づく基本的な態度、信頼感なども話し合いで変えることはできません。それは日本人同士のカップルでも同じです。基本的な価値観が大きく違う国際結婚者は、相手をほとんどそのまま受け入れるという覚悟が必要です。「何で?どうして?」を連発しても、関係は改善し ません。尊敬や信頼はくずれるとなかなかとりもどせませんが、行動や態度を改善することにより、少しず積み上げることはできるかもしれません。相手の98パーセントを受け入れ、2パーセントだけについて交渉するというのが、円満の秘訣だという説もあります。
話し合いで解決できること
話し合いで解決できる可能性があるのは、現実的な行動や決断(いつ、どのように、どこで、何をするか。あるいはしない)です。たとえば妻は「子供と添い寝 したい」が、夫は「夫婦だけが同じベッドで寝るのが当たり前」と考えます。この場合、お互いの価値観について「日本ではこうだ、アメリカではこうだ」とい う議論は避けましょう。その代わりに、どうしたら子供も含めて全員がある程度満足できるかを考えます。たとえば、妻が最初だけ子供と添い寝して、その後夫婦のベッドに もどるなど。
夫婦の役割についても話し合うことができます。だれがいつ、どのように何をするか話し合うといいでしょう。話し合う前に自問します:自分は何を望んでいるか?どうしてそれが重要か?それが実現するには、自分とパートナーが何をするべきか?自分の望むようになったら、相手に良くも悪くもどのような影響が及ぶか?お互いに理解と思いやりを持ち、正直におだやかに話し合える関係を持てるといいですね。