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なみだ

感涙

あなたは最近泣きましたか?私はマイケル・ジャクソンの「This Is It」という映画を観て泣きました。彼の一生懸命な姿を見て、感動せずにはいられなかったからです。感動する映画を観て泣くと、まるで胸の中の何かが解けていくような開放感があります。映画やテレビで感動して涙を流すと、なぜ気分がすっきりするのでしょうか?NTT西日本の調査によると、多くの人が涙に「心のリフレッシュ効果」を感じるそうです。涙を流すと、自律神経のバランスが副交感神経系側にシフトするので、緊張がほぐれ、胸が少し開いたような気分になります。感動の涙にはストレス緩和作用があるのです。

 日本でもアメリカでも、男は弱さを見せない、涙を見せないものだという社会通念があります。それは自然な身体生理に逆らうもので、あくびが出るのと同じぐらい、男でも泣くのが自然です。泣くのをがまんすると、自然なエネルギーの流れをせき止めることになります。悲しい時や辛い時には恥ずかしいから泣かない人でも、嬉し涙や感動の涙は流してはいかがでしょうか。心のリフレッシュ効果がありますから。

悲嘆の涙

 悲しい涙にもそれなりの意味があります。心に悲しみが溜まっていると、胸が重くなったり、喉がつまったりすることがあります。大切な人を亡くしたとき、泣くのは自然で必要な癒しの一部だといわれます。泣いて当然の状況で泣けない場合には、ショック状態にあるのかもしれません。人間の体は危機状態に対応するために、感情が凍りつき、圧倒されるのを防ぐことがあります。生存反応です。泣かずにお葬式やお香典返しをすませ、誰もお焼香に来なくなった頃、やっと涙が出ることもあります。そのときは声を押し殺さずに、大声で泣くといいでしょう。

 泣けない時には暖かいお風呂にゆったりと浸かり、筋肉をほぐします。感情を抑圧して、涙をこぼさないようにしていると、体が緊張するからです。声を使って泣く代わりに、気持ちを書いてもいいでしょう。考えや悲しみを言葉に代えてブログや日記や手紙に書きましょう。自分の気持にピッタリした音楽を聞きます。ベートーベンなど、何でもいいのです。音楽は表現し切れない、流しきれないエネルギーを開放する助けになります。海辺に座って、波が寄せたり引いたりするのを眺めましょう。自然のリズムが心身のバランスを整えてくれます。

 一般的に危機状態が落ち着き、変化に適応するにつれ、嘆きの深さや泣く頻度が少しずつ減少します。ある程度泣くと、感情の一つのサイクルが終結し、リラックスした放心状態、あるいは静けさのような状態がきます。そのように普通は振り子が振れるので、泣きっぱなしにはなりませんし、だんだん普通の生活にもどれるのです。もしも悲しみや嘆きが長く続いたり、生活に支障が出たり、睡眠障害が発生した場合には、専門家に相談するといいでしょう。

参考資料 www.ntt-west.co.jp/info/support/com-tai2.html

( 日本語でどうぞ) 公認心理療法士・矢納摂子