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家庭内暴力 その1

DVのサイクル (3つのステージを繰り返す)

  1. 緊張が高まるステージ:どなりあい、怒り、責める、口げんかの度合いが増えていく。
  2. 虐待ステージ:平手打ち、打つ、なぐる、ける、首を絞める、武器を使う、性的虐待。言葉による暴力や脅し。これが始まると加害者は自分をコントロールできなくなるか、しなくなる。被害者は傷つき恐怖におののき、加害者は自分を恥じ、罪悪感や情けなさを感じる。このステージで助けを求める被害者が多い。
  3. 落ち着きを取り戻すハネムーンステージ:このステージは、年月が経るに従い短くなる。加害者は暴力を否定したり言い訳したりする。被害者は助けを求める人が少なくなるが、加害者は罪を感じ、パートナーを失うのを恐れて助けを求めることがある。長期間繰り返し暴力を受けた人は、一度だけ受けた人に比べ、心身に受ける影響が大きい。

肉体的な影響

  • あざ、刃物による傷、腰の痛み、頭痛、背中の痛み、骨を折る、婦人科系の病気、性病、HIV/エイズ、脳神経科系障害、循環器系障害、胃腸障害。
  • 妊婦: 体重が標準に満たない新生児が生んだり、流産する。
  • 子供: 両親のDVを見聞きすると、犠牲者に起きる障害と似たような障害が生じることがある。ほおっておかれたり、普通の愛情や世話をしてもらえないことが多い.
  • 犠牲者の親は心身に大きなストレスをかかえるため、子供の世話ができなくなったり、児童虐待につながることがある。

心理的な影響

肉体的な暴力は、心理的な虐待につながる。うつ、反社会的行動、女性は自殺につながる言動、不安、自己評価の低下、男性への不信感、親密な関係への恐れ。PTSD(post-traumatic stress disorder )の症状 -  感情の麻痺、睡眠障害、フラッシュバック、暴力を受けた場面を繰り返し思い出すなど。加害者が近くにいるだけで身体が震えたり、パニックになる。離婚裁判のストレスで心身のバランスが崩れる。妻の浮気を疑うストーキング夫から、携帯に追跡アプリを入れられ、行動を監視される。

社会的な影響

移民女性は貧困や社会からの孤立、支援システムがないために、配偶者からのDVを受けやすい(注1)。アメリカ生活に慣れていなかったり、英語ができない、どこに相談したらいいかわからないために、自治体や地区の相談室に相談できないか、しない。脅迫されているため、自由に医療機関から治療を受けたり、自治体からの援助を受けれない、学校や仕事に行かないか、行かせてもらえない。

経済的な影響

経済的に依存していたり、お金を自由に使えない。配偶者が作った借金を背負わされる。DVのために仕事を休まなければならなかったり、解雇されたりして収入が減る。貧困で十分な食べ物がない。おまけに弁護士費用、建物の修理費、引っ越し代、子守代、携帯の買い換え費用が重なる(注3)。

法的な影響

突然アメリカ人夫から離婚申請された日本人妻が、グリーンカードの申請・更新手続きに夫に協力してもらえない(注2)。声を荒げて子供を叱りつけている場面をビデオで撮影された妻が、突然子供への接近禁止令で家を出るように言われ、裁判が解決するまで子供と別居になる。喧嘩のときアメリカ人夫に怒鳴ったり、物を投げたり、手を出した日本人妻のところに突然警察が来て、逮捕され、留置場に入れられる。夫への接近禁止令のために他の住まいを探さねばならない。

犠牲者によく見られる問題

喫煙、飲酒、飲酒運転、薬物依存、避妊しないでセックスする、複数のセックスパートナー、売春、自殺につながる言動、摂食障害、過度のダイエット、医者に頼る。教育程度が低かったり、情報収集能力が低い。キャリアをもっていない。子供のときDVを体験している。子育てに疲れている。

暴力を振るったり、虐待する人のプロフィール

  • パートナーへDV行為を行う加害者の99%は男性(注4)
  • DV問題がある家庭で育った。精神的、肉体的に虐待されたことがある。
  • 家族との関係に問題がある
  • 管理・支配意識が高く外づらがいい
  • 社会的地位が高く、周囲の信望を得て、一見裕福で幸せそうな家庭をよそおう
  • 反面、学歴や社会的地位が犠牲者より低い(劣等感を感じている)場合もある
  • 子供のとき問題を起こしたり、非行に走った
  • 飲酒や薬物依存問題
  • 仕事に不満やストレスを感じているか、失業中で自己評価が低い
  • 人格障害をもっている (注5)
  • 怒りや憎しみをかかえている
  • やきもち焼きで、所有欲が強い
  • 犠牲者を言葉で虐待する(こきおろし、見下げ、悪態をつくなど)
  • 友人が少なく、交際べた
  • 不安を抱え、パートナーとの共依存関係にある
  • 経済不安やストレス
  • 相手の気持ちを考えない、自分勝手な性生活。セックスを無理強いする人の89%はドラッグやお酒の問題がある
  • 古典的な男女の役割に固執する。男尊女卑。
  • 自己の言動を人や環境のせいにする

参考資料 http://www.cdc.gov/ncipc/factsheets/ipvfacts.htm   

注1:Stockman, Hayashi, & Campbell, 2015

注2:上の「DV犠牲者のためのリスト」参照。Domestic Violence Action Centerや移民弁護士に相談しましょう。

注3:Institute for Women’s Policy Research, 2017

注4:Breiding, et al.,2014

注5:Bream, Florimbio, Elmquist, Shorey, &Stuart, 2018; Breiding, Smith, Basile, Chen, & Merrick, 2014; Dowgwillo, Menard, Krueger, &Pincus, 2016

National Center for Injury Prevention and Control website about Intimate Partner Violence: Fact Sheet

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